『氷の城壁』よんだよー
同じ作者の『正反対な君と僕』にハマったので、こっちも読んだ。
この作者の内省的な描写、やっぱすごくうまいな~と思う。登場人物にひとしく距離を置くようにしている、とコメントしてたのも納得がある。
絶妙に「あーあるなそういうの…」と思いつつ、ほどほどに分からん感もあり。
なんか、悪いだけの人も、悪いところのない人も極力ないようにしたい感じを受け、そこもよかったです。
こう…傷つけられた人間が傷つけないわけではないし、人の無神経さ・無配慮によって苦しんだ人が自分はそうしてないかと言われれば…みたいな。
けっこうそういうところで「ん?」となることが多いので、そこらへんの視点もちゃんとある感じが強くて嬉しかった。
その意味では熱川姉妹はもうちょっと深入りして見てみたかったかなあ。秋音ちゃんかなり好き。ファッションがカワイイ系なのもいいし。
キャラクターとしては秋音ちゃんと、あとはヨータがかなり好きなタイプで好きでした。大柄のんびりやさしい男子で…。
桃香も好き。主人公・小雪への心情もよかったし、恋で擦り減る描写もよかったし。
あんまり恋愛で対立するシーンってそれじたい好きじゃないんですけど、桃香の小雪が嫌いだという描写は好きでした。逆にそれによって小雪というキャラもとらえやすくなるところがあったし。
正反対な~でも思うけど、キャラクターみんな自己分析と自己責任をしっかりやってて偉すぎるな…。
みんな偉すぎるから自信持って!って気分になってしまう。
一個ああ~わかるな、となったのは美姫の「陰口を裏で言われるよりは直接言ってくれと思うけど、自分もその流儀で素直に言おう!とすると不躾に人に圧力をかけてしまう」みたいなやつ…あれはすごいわかる。
恋愛ものでもあるんだけど、主題は人間関係による自己の見つめなおしなんだろうなあ。
クライマックスも小雪と湊の交際ではなくて、小雪が母親と話すところだと思うし。あの母親とのシーンはすごい好き。小雪母、作中もっともいそう度が高く……良かったです。